■ 日露戦争と“明治の精神”

明治天皇と日露戦争 明治天皇と日露戦争
世界を感動せしめた日本武士道

占部賢志・名越ニ荒之助・高山・小堀桂一郎・小柳陽太郎・加瀬英明・入江隆則/著


世界史上の奇蹟と評される日露戦争の勝利から100周年。
当代一流の識者による論文を集めた、日露戦争研究の決定版!!
様々な角度からその意義を明らかにし、現代における我が国の活路を見出します。


関連ビデオ→「名越ニ荒之助が語る秘話日露戦争」
定価 税込1575円 (本体1500円)
ISBN 4-944219-29-6
判型・頁数 四六判・230頁
発売 2005年3

主な内容>> 第一部  日露戦争と日本武士道
●日露戦争と明治の武士道―歴史研究家 占部賢志
●敵を敬い慰霊を欠かさなかった明治の気風―元高千穂商科大学教授 名越ニ荒之助
●忠誠の人・乃木希典大将―乃木神社宮司 高山亨

第二部  明治天皇の大御心を仰ぐ
●御製に見る明治の精神―東京大学名誉教授 小堀桂一郎
●明治天皇御製と「山桜集」―元九州造形短期大学教授 小柳陽太郎

第三部  世界史の中の日露戦争
●世界史を変えた日露戦争―外交評論家 加瀬英明
●日露戦争に学ぶ日本の活路―明治大学教授 入江隆則

本書は何故発刊されたか

 戦争は残酷で悲惨であり、もし出来得ることならば極力避けるべきものであることは言うまでもない。しかし、その残酷な戦争の中にあっても、称えられるべき精神や行為は確かに存在する。恐怖や様々な困難をものともせず、祖国や同胞のために勇敢に戦う行為がそうであり、また、敵の奮戦をも称える寛容さや敵の苦衷にも同情する慈愛もそのうちに入るであろう。殺伐たる戦争の中にあってこそ、逆にこれらの行為は輝きを放っている。
 日露戦争で両軍将兵は勇敢に戦った。今日一般に、ロシア軍の将兵は全て士気が低かったように言われているが、実際の記録を紐解けば必ずしもそのようにばかりは言えない。旅順要塞攻防戦での、コンドラチェンコ少将に率いられたロシア兵は勇戦敢闘したし、ロシア海軍の巡洋艦「ワリヤ―グ」は、仁川沖で多数の日本艦隊を相手に勇敢に戦った。蔚山沖海戦のウラジオ艦隊も、落伍する「リューリック」を助けるために何度も引き返して日本艦隊と戦い大きな損害を出している。日本海海戦におけるバルチック艦隊の中にも勇敢な艦があり、使用できる砲が最後の一門になっても尚戦い続けて撃沈された戦艦や、単艦になって日本艦隊の包囲を受けても降伏を拒んで「斬り死」した艦もある。
 そして、日本軍はこれら勇敢なロシア兵たちの戦いを惜しみなく称えた。旅順要塞を攻略した乃木希典大将が、明治天皇の御意思にしたがって要塞司令官ステッセル中将を篤く遇した「水師営の会見」は有名であるし、戦死したコンドラチェンコ少将の勇戦を称えて旅順に記念碑も建てている。日本軍によって建てられたロシア軍将兵の墓や慰霊碑はこのほかにも無数にある。
 また、日本海を望む福岡県津屋崎に「日本海海戦勝利」の記念碑を立てる話が持ち上がったとき、東郷平八郎元帥(日露戦時の連合艦隊司令長官)は、「祖国のために戦死した5000人のロシア兵のことを思うと“勝利”という言葉は使えない」として、単に「日本海海戦記念碑」とだけ揮毫した。
 本書の主たるテーマは、これら日露戦争の中で生まれた高貴なる行為とその背後にある精神について考えることである。
 日露戦争百年を機に、日露戦争に関する多数の出版がなされているが、それらの多くは日露両軍の戦闘の経過と戦術について記述されたものである。本書では、それらの点には敢えて詳しく触れず、当時の日本人がいかなる危機感を持ち、いかなる思いであの戦争を戦ったのか。また、当時の日本人の行為の源泉とも言うべき、「明治の精神」とは一体何であったのかを明らかにする論文ばかりを集めた。
 本書の刊行によって、「明治の精神」について皆様と共に考えて行
く機会となれば幸甚である。